「消滅都市」リードアーティストによるキャラクターデザイン編【事例:「アキラ」の場合】

御挨拶

はじめまして。
Wright Flyer Studios Unit 1 にて、マネージャー / リードアーティストを担当している濱坂と申します。本日は「キャラクターデザイン」というテーマで、グリーが提供しているゲーム「消滅都市」のキャラクター「アキラ」を例に以下の4つに分けてお話できればと考えております。

  1. キャラクターデザインをはじめる前に
  2. キャラクターに存在感を持たせるために行う事
  3. 完成度を高める為に行う試行錯誤
  4. キャラクターデザインという業務について思う事

1. キャラクターデザインをはじめる前に

私の場合、企画職のメンバーからオーダーを受けた後、まず、作中でのキャラクターの役割(行動の動機や手法)を確認する事が多いです。ピンとこない方は下記のマトリックスを作ってみると、これからデザインするキャラクターの役割がつかみやすくなると思います。このマトリックス上で、アキラが消滅都市の作中で「Lawful Good」であることを前提に表情や装備などを考えていきます。これはTRPG(テーブルトークRPG)のキャラクターメイキング等で良く使用される方法なので、馴染みのある方もいると思います。

2. キャラクターに存在感を持たせるために行う事

アキラ★6をデザインするにあたって企画スタッフから以下のオーダーをもらいました。

  • 日本のSPである事
  • アキラ★5より「強い」タマシイである事
  • ユキとの関係を匂わすモチーフを挿入する事

タマシイ=消滅都市上でのキャラクターの呼称 と捉えてください。
★はタマシイのレアリティを示しています。これはレベルのようなもので、★の数が多いほどタマシイのレベルが高くなります。また、タマシイには「火」「水」「木」「光」「闇」の5種類の属性があり、アキラは「火」の属性となります。

それではまず、アキラ5のデザインから振り返ってみます。

アキラ★5

火属性キャラである事を強調する為に赤毛と赤ネクタイを配色し、背後にマズルフラッシュ状のエフェクトを置きました。また、意思の強さや真面目な性格を表現する為、短髪直毛のヘアスタイルを選択しています。

装備は現在日本の公安系の公務員が入手出来る(と思われる)一番火力の大きいものを選びました。 通常のMP5では無く、短かめのクルツを持たせているのは画面の矩形に無理なく配置する為の工夫の一つです。(実際にクルツを使っている日本の公安部署は無かった気がします……多分)ネクタイや背広、頭部に装備されたインカムは、アキラが秩序だった組織内でチームの一員として機能している記号ともなります。

本題からは少し外れますが、作中のイベントなどでアキラが比較的手厚く扱われているのは、育成次第で終盤まで主力となるアキラを、売却や合成で失わない様にする。という初心者プレイヤーさんに向けた企画意図でもあります。

さて、これを踏まえた上で、★6アキラをデザインしていきます。

アキラ★6_白黒

★5アキラを作成した当時は★6アキラの存在を想定していませんから、まず装備に非常に悩みました。MP5より強いからといって、普通のアサルトライフルを持たせるのは流石に破壊力が過剰です。

ここで1.で取り上げた、キャラクターのマトリックスに立ち返り、 「秩序と善」を重んじるキャラクターの装備(彼は過剰な破壊は望まない)という観点から7.62mmより小口径かつ、海外の公安組織に採用事例のあるP90を選択しました。ブルパップ式の銃を選択したのは、クルツと同様に矩形内に綺麗におさめる為のレイアウト上の工夫でもあります。

また、ユキとの関係を匂わす何か?に関しては、腕にリボンをあしらう事で着地としました。当初は「幼少の頃のユキを抱きかかえたアキラ」案を提案した事もあるのですが、企画職のメンバーの意図から外れていたため、NGとなっています。

3. 完成度を高める為に行う試行錯誤

デッサンやレイアウトにかける時間を短縮するため。ポリゴンモデラーを使ってラフなポリゴンモデルを作成し、アタリに使用しています。

また、私は男性ですので、男性キャラクターのフェティッシュな部分に思いが至らない事も多く、周囲の女性のアートスタッフにマメに意見をもらう事にしています。
★6アキラのワイシャツが乱れていたりするのは、当時の女性スタッフの提案からです。

アキラ★6_白黒(丸強調)

後は、周囲に意見を貰いつつ、ひたすら細かいデッサンの狂いや微調整を繰り返していきます。

アキラ★6

4. キャラクターデザインという業務について思う事

こちらのブログをご覧になる方の中には、将来はキャラクターデザイナーを志しておられる方も多いと思います。そんな方に、お伝えしたい事がいくつかあります。

  • ゲームの機能や目的を達成することを最重視してキャラクターデザインを行う事
    単に恰好のいいキャラや可愛いキャラクターを目指してもゴールには近づくのは難しいです。
  • 他のアートセクションや他の職掌との協調・連絡を密に取る事(コミュニケーションを重視する事)
    いたずらに描画負荷の高いデザインになっていないか気をつけましょう(3Dタイトルの場合は、ポリゴンモデル化する時等に意識するべき事です)もちろんUIデザイナーや背景デザイナーと足並みを揃えるのもとても大事な事です。
  • キャラクターデザイン業務は人気の高い業務であることを自覚する事
    競争率は極めて高く、ライバルは日々努力しています。努力が結果に結びつかない事も多いです。その時の為に別の得意なアート分野を作っておくと良いでしょう。

最後まで読んで頂きありがとうございました。 今後も当ブログでのグリーのアートスタッフの発信にご期待頂ければ幸いです!

Author: shinichiro hamasaka